2011年10月23日日曜日

キログラムの定義の見直し

「キログラム」という単位を毎日のように使う。

お米を5キロ買ったり、体重が何キロと測ったり。

でも、その「キログラム」ってどういう単位?と考えると、

知らない人も多いのではないでしょうか?


昔々、重さの基準を作る必要があると考えた人が、

「水1リットルの重さを1キロという事にしよう」

と決めて、取引を始めたそうな。


ところがその後、水の体積は温度に影響される事が分かり、

「4℃の水1リットルの重さ」

と決め直したたそうな。

ちなみに、4℃なのは水の密度が最大になるから。

余談ですが、あのブランドの名前もここから来てるらしいです。


ところがところが、水の密度は気圧にも影響される事が分かる。

気圧とは、大気からの圧力の事で、圧力とは特定面積にかかる力の量。

例えば、Pa(パスカル)という単位は、

1平方センチメートルに1ニュートンの力がかかっている状態。

そして力とは特定質量をもつ物質に与える加速度をもとに定義されている。

例えば、1N (ニュートン)とは、

1kgの物質を、1m/s2の加速度を生じさせる力の事。


さて、ここまで来ると、

1kgを水の質量で定義するには、圧力の定義が必要で、

圧力を定義するには、力の定義が必要で、

力を定義するには、質量の定義が必要。

つまり、循環してしまってるんです。

水を使って定義する事には限界があったんですね。


そこで、しょうがないので、1889年に

「これと同じ重さの物を1kgとします。」

って物をつくって、決めたんです。

これが、「国際キログラム原器」という物。

これです:


プラチナとイリジウムを混ぜて、

フランスのパリ郊外にて、真空で保存されています。

そして、約10年ごとに、天秤を使ってレプリカがつくられ、各国へ配布される。

ちなみに、日本にある物は茨城県つくば市のAISTにあって、

なぜか本物より0.170g重いらしい。笑


その"Le Grand Kilo"(フランス語名)ですが、

表面吸着等の理由で、年々、若干重くなってるらしい。(1×10−10kg程度)

そして、表面洗浄を行った際は、ちょっと軽くなったんだとか。(6×10−8kg程度)

つまり、今のkgの定義だと、8ケタくらいの信頼度しかない。

これって、びっくりじゃない?


そこで、国際度量衡総会は、kgの定義を見直す事を発表。

4-8年くらいかけて、新しい定義を探すんだって。

物理量を人工物で定義してるのはkgだけで、

例えばメートルは「1 秒の 299 792 458 分の 1 の時間に光が真空中を伝わる行程の長さである

と決められている。


もっと厳密で、面倒じゃない定義を決めて欲しいな。

ちなみに、今有力なのは、

一定個数のケイ素原子(Si)の質量
→ケイ素原子は不純物をつくらない単結晶を作りやすい。直観的にも分かりやすい。

金の原子を蓄積し、それを中性化するのに必要な電流によって定義する。
→シンプルだけど、勉強してないと分かりにくいかも

真空中に1メートルの間隔で平行に置かれた無限に小さい円形の断面を有する無限に長い2本の直線状導体のそれぞれに、1秒あたり6.241 509 629 152 65×1018の電荷による直流の電流が流れるとき、導体に2×10-7m/s²の加速度が生じたときの、その導体の1メートルあたりの質量
→難しいし分かりにくい。ジョセフソン定数なんかを使う方法。無限に小さい、というのは実現不可能かもしれない。

などなど。


ただの「キログラム」の中にも、

これだけの歴史があるんだなーと勉強になります。

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