2012年6月3日日曜日

自分の脳について、自分の脳で考える

今日読み終えたのはこちらの本:

単純な脳、複雑な「私」
単純な脳、複雑な「私」池谷裕二

朝日出版社 2009-05-08
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脳科学の最先端の情報を、高校生向けに噛み砕いて講義した物をまとめた本。

この本を読んだtake-awayは3つ。


①論理的になる時は、同時に謙虚でなければならない

人間の脳はかなり適当で、

客観的に物事をとらえている気がしていても、

実はかなり外部環境に左右されているし、錯覚も多々起こす。

サブリミナル効果なんかはその一例。

だから、Logical thinkingはとても大事だけど、

論理的に

「私はこう思う。なぜならば…」

なんてやって他人を説得する時は、

そこに、脳が受けるたくさんのバイアスやゆらぎなんかがある事を考慮すると、

かなり謙虚にならなければならない。

これが一つ目のLearningで、でもActionにつながるという意味で素晴らしい。


②生命は高度ではないかもしれないし、自分の意思なんか存在しないかもしれない

生命は複雑に見えるけれども、

実は単純なルールの集合体でしかないかもしれない。

でも、「創発」という仕組みを使えば、

比較的簡単なルールから、かなり複雑なアウトプットを生む事も可能。

確率論的な「ゆらぎ」があるから、

コンピューターで再現するのはほぼ不可能なのですが。

さらには、自分が体を動かそうという意思を伝達する0.5秒くらい前に、

脳は体を動かす準備をはじめているらしい。


自分は本当に、「自由な意思」に基づいて生きているのだろうか?

とても不思議な気分。

これは、世界観を構成する上で大事な、「へぇー」というLearning。


③自分の心について考えるのはほどほどにしよう

よく「自分ってどんな人間なんだろう?」って考える事が多い。

でも、実は「自分の心」について思いを巡らせてるのは、

自分の心そのもの。

だから、ラッセルのパラドックスのイメージで、限界が必ずある。

しかも、自分って内向的なのかな、って考えている時点では

「自分の心について、自分の心について考えている自分の心について、自分で考える」

というかなり複雑な事をやっている。

この入れ子構造はどこまでも続けられるけど、

人間のワーキングメモリは7-8つまでだから、すぐ限界が来ちゃうよね。

だから、自分の事を考えるのはもちろん大事だけど、

悩んだら、あまり考えすぎないようにする事も必要なんだな、って思った。

これが3つ目のLearning。


ついでに言うと、脳科学というのは究極の入れ子構造の学問で

「自分たちの脳について、自分たちの脳で考える」という作業をしているから、

本質的に矛盾を含んでいるのだそう。

ちょっと考えても複雑でよく分からないから、

「神秘的なもの」としてここ数年、注目を集めてるのかもね。


僕のような一般人には、

最先端の研究を読む時間も知識量もないのですが、

(いや、知識量のせいにしちゃいかんな。知識量を積み上げるために割ける時間が不足しているのだ。結局時間か…)

池谷先生は、それをとても平易に噛み砕いてくれている。

最先端の科学が、僕のようなビジネスパーソンの生活に活かされるには、

このような活動をしてくれる人がどうしても必要。

だから、研究者として忙しい中、こうやって一般人に知識をシェアしてくれる人はとてもありがたい。


というわけで、世間一般にLearningを共有した上で、

池谷先生含め、研究者にこういう活動にも意義がある事を「フィードバック」したい。

そんな思いで、今日のブログを書きました!

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