2009年2月9日月曜日

バス会社の収益

ちょっと疑問に思ったんで調べてみました。

バス会社って、本当に儲かってるの?って。

僕は自宅から駅まではバスが無いと移動できないの距離なのですが

  • バスは一回数百円と高いわけじゃないし、
  • とくに満員にもならないし、
  • 時間帯によっては人が殆どいない場合もあるし、
儲かってるの?

って疑問に思ってしまいました。

という訳で、フェルミ推定とネットの信憑性低いデータを使いまくりになりそうですが、とりあえず考察のはじまりはじまり~

①バスの路線の費用
とりあえず、調べてみました。
a)ガソリン代
路線バスの燃費は、どうやら3.1~3.3キロ/リットルらしい。
平均とって3.2としましょう。

b)バス自体
路線バスの値段は、メーカー価格で2000万円前後。
通常は、10年~15年使ったあとに、地方に売られてさらにもう5年くらい使われるらしい。
会計上の車両運搬具の減価償却期間は6年ですが、年齢構成が平準化されてれば、12・13年程度を見ておけば大丈夫でしょう。

その他に、
車検:10万円程度
保険:10万円程度
という事だそうです。

c)運転手の給料

バス運転手の平均給与は、420万円/年。
月収30万+賞与60万、が平均値らしい。

さて、次は、

②バス路線の収益

a)均一料金モデル
均一料金の例から始めましょう。この場合は、たとえば
東急バスなど6社(東京):200円均一
京急バスなど7社(横浜):210円均一
だそうです。

b)賃率モデル
次に、もっと一般的な「料金=初乗り+賃率×距離」を使おうと思います。
賃率とは、移動距離一キロあたりの料金です。

関東圏のバス会社だと

神奈中など7社(神奈川):初乗り150、賃率31.7~42.8
西部バスなど7社(東京):初乗り100、賃率30~38.2
朝日自動車など6社(埼玉):初乗り170、賃率30~36.1
群馬バスなど8社(群馬):初乗り140~150、賃率38.1~47.4
京成バスなど23社(千葉):初乗り140~160、賃率21.1~42.5

と、こんな感じ。

という訳で、平均値を取って、
初乗り:145円
賃率:35円
となりました。

b)
③収益計算

単位を換算するために、色々必要ですね…。

バス運転手の総労働時間は208時間/月らしい。
普通乗用車の運転速度は、平均で30km/hくらいなので、バスの運転速度は8掛けで24km/hくらいでしょうか?
仕事時間の8割が客の運搬、2割は単純な移動だとしましょう。
ガソリンの値段は、120円/リットルとしましょう。
バスの平均的な乗車時間は、20分としましょうか。

乗客の乗車距離は正規分布しているとして、何人来れば収益が均衡するんでしょう?

●総費用
バス:160万円/年・台
人件費:420万円/年・人
ガソリン代:180万円/年・台
車検、保険:20万円/年・台

で、合計で780万円の費用がかかるそうな。

ここでは、一運転手につき一台のバスが使われる、と想定しています。
想定内容は、
労働時間:2500時間/年
移動距離:48000キロ
ガソリン消費量:15000リットル
●収益(均一料金のケース)
料金×人=780万円だから、
東京都内の場合なら料金は200円なので、39000人/年が必要。

ビジネスとして成立させるには収益率が長期国債の金利(1.3%)に勝つ必要がありますが、このためには、39500人必要、という訳です。

●収益(賃率モデル)
郊外の、賃率が適用される場所については、
走行時間2000時間中に、自由に人が乗って降りる、というポワソン分布的な要素が必要になってきますね。笑

計算すると、
人数×(初乗り+乗車時間×移動速度×賃率)=780万円

先ほどのデータ・予測値
初乗り:145円
賃率:35円
乗車時間:10分
移動スピード:24キロ/時
を利用すると、27400人必要な事になります。

長期国債に勝つためには、27750人ですね。

以上で分析終了。

最後に考察を、

・路線バスの収益は不安定要素が高い
年間乗車のべ人数が数百人変わるだけで、利益の数パーセントの変動になってしまう。

・路線バスは予想以上に、収益構造ができている。
必要顧客人数は、ある程度の都市部ならば達成できそうな感じの数値である。一時間に15人程度集めれば収益が確保できるので、案外ビジネスモデルとして成立していた。

一方で、この数字は地方の路線バスにとっては大変だと思われる。だから、都市部が使い古した路線バスを中古で買い取ってしまうんだね。
簿価上では償却しきっているので、都市部のバス会社にとっては一銭でも得られれば、固定資産売買益になるんだし。お互いにとって、表面上は得になる、っていう構造なのかも。

・路線バス業界は規制産業である
料金設定にあたって、国交省に承認を得る必要があったりして、競争ができていない。
公共性があり、非競合である(同じ路線を複数社で値下げ交渉できない)ので、この規制に関して経済学的に善悪は判断しにくい。

・ガソリン価格は、収益に大きく影響する
ガソリンが180円だった時は、費用は90万円増えるので、コストの10%以上になってしまう。
原油高がこの産業を大きく揺るがした事は間違いないであろう。

こんな感じかな。

以上、今日の自由研究でした。

データを取った場所
神奈川中央交通の有価証券報告書
各社HP

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