2010年3月17日水曜日

PCPの友人の思考実験

PCPからカナダへ留学へ行っている仲間が、

彼のBlogにて提起していた問題。

彼のこの投稿は少しふざけてるところがあるけど、

読めば彼の頭の良さが皆さんにも伝わると思う。

FacebookやComment欄を通じて、

僕と彼とのやり取りがあるので、

ぜひぜひ、皆さんも考えてみてください。


彼の指摘を整理しながら議論を展開すると、まず、

「企業が利益を出すためには、限界費用を上回る価格をつけられるように独占力が必要。」

と主張している。

これは理論的には正しい。(ミクロ経済学の初歩です)

ただし、一部修正が必要なので直していくと…


まず、ミクロ経済学でいう「利益」とは、「適正利益を上回る利益」の事であり、

財務諸表上の利益とは異なる。

このため、「ミクロの理論上は」ある程度の利益が出る。

これは、経済学部生でもよく勘違いしているので、注意!笑


さて、彼がやっているようにLong Termにおける効率性を考えて、

企業が技術開発・コストカットをしていくと考えれば、

これは、Marxの言葉を借りると、

「特別剰余価値をめぐる競争」

という事になる。

説明すると・・・

企業は、他の企業よりも優れた条件の商品を提供できれば有利になるため、

開発・効率アップに尽力するインセンティブが生まれる。

周囲がこの競争に参加するようになると、

生き残るためには、自社だけ競争に参加せざるを得なくなり、

その結果、全員がこの競争に参加する事を強制される。

ゆえに、競争激化がおこり、技術進歩が促進されると共に、

競争に敗れる企業も出始める。

研究開発には企業体力が必要だし、

コストカットには規模の経済性がひとつのポイントになるため、

無数な小さな企業群が、徐々に淘汰・吸収合併され、巨大化してくる。

ゆえに、市場経済は独占を促進させる。

という事になる。


ゆえに、Marxの考え方に従えば、自然と独占がおこる。

独占になると、完全競争市場で成り立っていた「(適正)利潤ゼロ」は成立しない。

そして、余剰利潤はR&Dなどに周り、企業は差別化の色を強める。

友人は投稿において、p>MC(つまり、利潤が正)になる6つの可能性を考えているが、

そんな事しなくても、独占が成立するので、利潤は正なのである。笑


次に、彼の後半部の問題提起

「Marketingは社会のためになるのか?」

を考えたいと思う。

これは、経済学の完全競争市場モデルの話ではなくて、

さまざまな摩擦が存在する現実社会のBusinessの問題である事に注意。


そもそもMarketingとは何か?という事を定義しておく。

厳密に定義しようとすると、


「顧客が真に求める商品やサービスを作り、その情報を届け、顧客がその商品を効果的に得られるようにする活動」


という感じになる。

これをブレイクダウンすると、

①顧客が真に求める商品・サービスとは何かを考える
②顧客が求める商品・サービスを作る
③そのサービスに関する情報を顧客に届ける
④そのサービスを効果的に得られるように工夫する

の4つに分けられる。

友人はMarketingと、Advertizingを勘違いしているようだ。笑

さて、Marketingが市場に与える効果を考える。


①は市場調査・商品企画。

市場調査:人件費がかかり、インタビューされる側の時間も取られるのでマイナス。 (Cost)

商品企画:人件費分だけ社会厚生にマイナス。 (Cost)


②は商品開発

ここも、コストがかかる。

しかし、既存の財以上の効用を生み出すような、良い商品・サービスが思い浮かべばプラス。


③は情報提供(Cost)

コスト面ではマイナス。

ただし、今まで商品(やその便益)を知らなかった人が、

その商品を知ってHappyになればプラス。

不要な情報を与えられたらマイナス。


④はそのサービスを効果的に得られるための工夫

他の商品との組み合わせの紹介、新しい使い方の提案、

こういうのは、Cost/Benefitは微妙。

よりHappyになれるような工夫が見られればプラス。


総じて言えるのは、

実行段階ではCostがいくらになるかは確定しているが、

Benefitがどれくらいあるのかは不明であるという事。


さて、ここまで、暗黙の仮定として、

消費者は自分の絶対的な価値観を持っており、

その価値観は変化しない、という仮定を置いている。

そこを外してやるとどうなるか?


個々人の感覚は、周囲によって影響を受ける。

みんなが良いと思う商品の価値は、自分にとっても上がる、としよう。

そうすると、自分がHappyになるかどうかというのは、

周囲がそれをHappyと思うかに依存する、

という当然ながら、とても複雑な関係が出来上がる。


ある情報がAさん個人にとって良い情報であれば、

Aさんの感情が周囲の人たちに影響を及ぼして、

世間的にプラスの評判を受けるだろう。

しかし、それが別のBさん個人にとって悪い情報だったとすると、

Bさんの感情は、世間の評判にマイナスの影響を持つ。

じゃあ、結果的にどうなるのよ?というと、

それは世間の中のAさんとBさんの影響度によるし、

別の影響力のあるCさんがAさんやBさんにどれくらい影響されやすいかにもよる。

要するに、分からないのである。


その、よく分からないその結果がCostに対するBenefitである。

だから、「ぜんぜん分からない!」というのが本音である。

結果的にBenefitが出てきた物は"Brand Image"と呼ばれる。

いろいろMarketing手法はあるのだが、要するに結果論である。笑


だから、3Cとか4PによるMarketing Mixみたいな物の上に、

Buzz Marketingとか、キャズムとか、

○○マーケティングみたいな本がたくさん出てるのだと僕は思う。


少し長くなったな。

でも、こういう風にWeb上でも学問に関してやりあえるのは、

幸せな事かもしれないな、と思った。

2 件のコメント:

アンチキャナモリ!! さんのコメント...

一個目に関しては規模の経済を前提にするとマルクスの言うような理論でいわいる自然独占が起こると思う。いわいる、でもそれもpがmcを上回る実例じゃない?規模の経済が生じる状態で企業が利潤を得るためにははmcがpよりも小さくなきゃいけない訳っしょ?
ただ、規模の経済によるコストカットが常に現実社会で成り立つかというとそうでもないと思う。

二つ目に関して。確かにmarketingとadvertisementを混同してるね。俺がいってるのはadvertisementのことですね、申し訳ない。

俺は恐らく③の情報提供のとこについて主眼を置いて論じたと思われ。
情報提供=advertisingが社会に正の影響を与えるか負の影響を与えるか。については俺とお前の主張はほぼ一緒だと思う。
超簡単に言うと、効用関数が固定的で、自己の消費のみによって規定されると仮定したらadvertisementによって商品を買った人が期待以上(つまり支払ったコスト以上)もしくは期待通りの効用を得られたら、社会的にはオッケーってことっしょ?で、期待以下だったら社会的にネガティブと。
で、効用関数のCoefficientを向上させるようなのをブランドイメージというってことか。うむ、そこは納得だね。

金森 俊揮 さんのコメント...

アンチキャナモリ!!さん>>

一般の読者さんのために、念のため指摘しておくと、このコメントをくれたのが、ブログを書いている彼です。笑

一点目:PとMCについて

その通りです。
なので、修正が一番必要なのは「利益」の定義の部分です。

付け加えると、独占は自然発生的に起こるので、一々どういうCaseで起こるかを考える必要が無いという事。
「規模の経済」と言ってしまうとOne Period Model上のy=f(x)の式を考えてしまい、○○のケースでは規模の経済性が働く・・・と考えがち。
でも、時間軸があるModel上で考えれば、技術開発はR&D費に依存して企業規模とは無関係。
ゆえに、R&Dをまとめて投下するために、企業が統合するインセンティブが生まれる、という形で書きました。


二点目:Advertisementの効果

そうだね、お互いに見解は一致してそうだね。
あと、受けてにとってその情報がNoiseなのか、という問題もあるが、実際は微妙・・・。笑
ここまで考えると、よく分からなくなりそう。。